虫、虫、蟲

雨が降る中、自転車を漕ぎ進む。いつも通っているこの道が、いつもより長く思える。ばちばちと顔に当たる雨粒。さすがに痛くはないが、それに違和感を覚える。
スリップしないように、いつもよりゆっくり漕ぎ続けていると、前に歩行者が。よけようと思い道路の右端の歩道にあがる。すると目の前にいきなり黒い粒が。なんだこれは。一瞬そう思ったが、すぐに正体はわかった。虫だ。蚊くらいの大きさの虫が顔へと襲う。その中に一匹紛れ込んでいた蝿の大きさの虫がなんと鼻の中へ入った。脊髄反射で鼻から一気に空気を出す。虫が出る。鼻水が出る。
そんなことに気をとられていると、自転車が進む方向は歩道の端に植え付けられた木へ。しかも木の前には犬の糞。思いっきりブレーキをかけた。なんとか犬の糞の数センチ前のところで止まった。
家に帰ってから鼻にティッシュを突っ込んだ。そのティッシュには血にまみれた黒い粒がついていた。