横文字の憂鬱

最近やたらと横文字を使う人がいる。オンデマンドやらアイデンティティやら。普通に日本語で言えばいいのにと思う。とにかく「横」というのは日本語に合わない。日本語は縦なんだよ、縦。ほら、小説だって縦書きだし、原稿用紙だって縦書きだ。縦書きの醍醐味といえば、何といっても原稿用紙に書き込むうちにどんどん手が汚れていくことにあるだろう。右利き限定の話だが、改行しても改行しても手のしたには文字がある。日本語ならではの文化ではないか。横書きでは味わえない。横断より縦断だ。横断といえば、横断歩道には視覚障害用のボタンがよくある。あれを押したらどうなるのかは知らないが、とにかく押したくてたまらない。押せないボタンほど押したくなるボタンはない。たとえば、ミサイル発射ボタンとか。そういえば、どこかのネット商店がそのようなボタンを模した玩具を発売していたが、あの商品はボタンを押してもランプが光ったり、エマージェンシーとかいうサウンドさえ鳴らないのである。それでプライスは4000円だというのだから、これは高い。赤色灯が回転してくれたりしないと4000円はそうそう払えない。ネットショップのウィークポイントは実際に商品を見たりタッチしたりできないところにあるだろう。確かに、従来の道端のショップに比べ、プライスはチープであるのかもしれないが。そんなこんなで話は「横道」にそれたけど、どうやらぼくも横文字を使わずにはいられないらしい。